糖尿病で障害年金をお考えの方へ

1 こんなお悩みありませんか?

 ☑ 健康診断で血糖値が高いと指摘された。

 ☑ 極端に体重が増えた、あるいは、体重が減った。

 ☑ 夜中に何度も頻尿で目が覚める。

 ☑ 全身の倦怠感や手足のしびれを感じる

 ☑ 目がかすむなど視力の低下がある

 ☑ 水を飲んでも、飲んでも、いくら飲んでも、異様にのどが渇く

 このような症状は、もしかすると糖尿病の症状かもしれません。

 そして、糖尿病についても、条件を満たせば障害年金の受給が可能です。

2 糖尿病に関する障害年金の認定基準

⑴ 糖尿病の認定基準における基本的な構造

 障害年金は、病気や障害の種類ごとに、異なる認定基準が設けられています。

 糖尿病は、糖代謝の異常と説明することができますので、糖尿病の障害年金の認定基準は「代謝疾患による障害」を参照することとなります。

 例えば、代謝疾患による障害に関する認定基準には、以下のように記載されています。

「糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難なもので、次のいずれかに該当するものを3級と認定する。ただし、検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行っていることについて、確認のできた者に限り、認定を行うものとする。」

 そして、「次のいずれかに該当」の内容は、以下のようになっています。

「ア 内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値が0.3ng/mL未満を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの」

「イ 意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの」

「ウ インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの」

 こちらをご覧いただくと分かるとおり、糖尿病の認定基準においては、血液検査等の結果が重視されていることがわかります。

 参考リンク:日本年金機構・国民年金・厚生年金保険 障害認定基準

 

⑵ 90日以上継続したインスリン治療が行われていることが前提

 糖尿病の認定基準の基本的な構造は上記のとおりですが、ここで注意が必要な点が2点あります。

 ひとつ目は、90日以上継続したインスリン治療が行われていることが前提になっていることです。

 インスリン治療を行わずに、血糖値等に異常があるという場合には、認定対象とならない内容の基準となっています。

 

⑶ 原則では3級と認定されるため障害基礎年金で受給するのは難しい

 ふたつ目は、糖尿病は原則として「3級と認定する」とされている点です。

障害年金は、初診日に加入していた年金制度により、年金を受給することができる等級の範囲が異なります。

 厚生年金が利用できる場合には1級から3級までが受給可能な範囲になりますが、国民年金が適用される場合には、1級または2級に該当しなければ障害年金は支払われず、3級では受給対象外として扱われてしまいます。

 この点で、初診日が国民年金の場合には、糖尿病での年金支給が認められにくい基準となっていることには注意が必要です。

 ただし、認定基準では、「なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。」と記載されていますので、国民年金だからといって、絶対に年金が認められないといわけではありません。

 検査数値や症状の重さを丁寧に証拠を用意して、説明していくことで2級が認定される可能性もございます。

 

⑷ 合併症がある場合にはそちらの認定基準も参照する

 また、糖尿病は、様々な合併症を引き起こすことで知られている病気です。

 特に、以下のような合併症については、それぞれ別の認定基準により認定されることになっていますので、そちらの認定基準も参照する必要があります。

 

【合併症の内容と参照する認定基準】

 ①糖尿病性網膜症による目の障害:眼の障害

 ②糖尿病性壊疽による運動障害:肢体の障害、

 ③糖尿病性神経障害:神経系統の障害

 ④糖尿病性腎症:腎疾患による障害

3 糖尿病で障害年金申請する際のポイント

 上記のように、糖尿病の認定基準は複雑な仕組みとなっています。

 適切に審査を受けるには、インスリン治療などを行った上で、血液検査等の客観的な検査結果を揃えることが前提になります。

 また、日常生活状況においてどのような困難が生じているかも参照されますので、日常生活状況をどのように整理して報告するのかも非常に大切になります。

 さらに、複数の合併症が考えられる障害であるため、合併症の有無と、それぞれの合併症がそれぞれの障害の認定基準を満たしているかも検討しなければなりません。

 これらが、糖尿病の障害年金申請の際に気を付けるべきポイントとなります。

4 糖尿病と障害年金に関するQ&A

Q 働いていると糖尿病では障害年金は受け取れませんか?

A 障害年金の制度上は、働いているからと言って、それだけで年金が否定されることはありません。

 ただし、一般的な糖尿病の認定基準では、一般状態区分表において、就労状況も含めて症状の重さがはかられます。

 そのため、働いていると、糖尿病の障害年金が認められにくくなる傾向はあるものと考えられます。

 働きながら障害年金を受給できる場合について、より詳しくはこちらのページでご説明しております。

 なお、これはあくまで代謝疾患としての障害の認定基準を考えた場合の話ですので、例えば、合併症などで腎疾患が生じて人工透析を受けているような場合には、就労の有無に関係なく、障害の認定基準を満たすことになります。

 

Q 健康診断で血糖値が高いといわれたのですが、健康診断の日付は初診日となりますか?

A 原則として、初診日は、その症状で医師の診察や治療を受けた日になります。

 そのため、原則として、健康診断を受けただけでは初診日として扱われません。

5 弁護士法人心にご相談いただく場合の流れ

 当事業所では、障害年金に関するご相談をお受けしております。

 まずは、お電話またはメールフォームで相談のご予約をいただければと思います。

 ご相談いただく際のより詳細な流れについては、こちらのページに記載しておりますので、ご相談をお考えの方はご覧ください。

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