障害年金と老齢年金のどちらの方が得なのかに関するQ&A

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 大澤耕平

最終更新日:2023年06月12日

障害年金と老齢年金のどちらの方が得なのかに関するQ&A

Q国民年金にしか加入していない場合は?

A

 これまで一度も厚生年金に加入したことがなく、老齢年金の受給を開始するまでの間にも一度も厚生年金に加入しない方についていうと、原則として障害年金(障害基礎年金)の方がお得であるといえます。

 なぜなら、老齢年金(老齢基礎年金)は、実際に年金保険料を納めた期間の長短によって金額が法律の定める満額から一部減額されて支払われることになりますが、障害年金(障害基礎年金)は2級の年金でも法律の定める老齢年金(老齢基礎年金)の満額と同額が支給されますし、1級の年金であればその1.25倍の金額が支給されるからです。

 したがって、国民年金の範囲で考えると、一般的に障害年金の方がお得であるという結論になります。

 例外的に、年金保険料を20歳のときから一回も漏らさず満額納付した方が、障害基礎年金の2級を受給する場合には、どちらも同じ程度にお得であるという結論になります。

Q厚生年金に加入していた場合は?

A

 他方で、厚生年金に加入していた場合には、どちらがお得かを簡単に決めることができません。

 なぜなら、国民年金と違って、老齢厚生年金も障害厚生年金も、どちらも、厚生年金の加入期間や、報酬月額、支払った厚生年金保険料の額によって、もらえる年金額の計算が変わってくるからです。

 そのため、老齢厚生年金と障害厚生年金のどちらが得かを比較するには、実際に、各年金制度でいくら年金がもらえるのかを個別の事案に応じてシミュレーションして決めるしかありません。

Q遡及請求とは?

A

 障害年金には遡及請求と呼ばれる過去に遡って年金を請求する手続きもございます。

 例えば、「来年から老齢年金の支給を受けられるし、シミュレーションの結果、障害年金にもらわなくても老齢年金で問題ない。」と思っている方も、遡及請求の点は注意しておかなければなりません。

 60歳以降になって、老齢年金の支給年齢を迎えたとしても、過去に障害年金の遡及請求は認められる可能性がございます。

 この点でも、老齢年金のことだけを考えるよりも、障害年金まで視野にいれて年金の受給をできるようにした方がお得であるということができます。

Q障害年金と老齢年金の違いは?

A

 障害年金と老齢年金は、どちらも国民年金法及び厚生年金法に基づいて支給されるもので、何を原因として支給されるかに違いがあります。

 障害年金は一定の障害の状態になった場合に支給され、老齢年金は原則として65歳になった場合に支給されます。

 また、一家の働き手や年金を受け取っている人が亡くなった場合に支給される遺族年金もあります。

 年金というと一般には老齢年金のイメージが強いですが、上記のように、公的年金には障害年金、老齢年金、遺族年金の3種類があります。

Q障害年金と老齢年金の併給はできるか?

A

 障害年金と老齢年金は同時に受け取ること(併給)はできません。

 例えば、障害年金を受け取っている人が65歳となり、老齢年金を受け取る権利が発生した場合には、障害年金と老齢年金のうち有利な方を選択して受け取ることになります。

 なお、障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金を受け取れ、老齢年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金が受け取れる場合には、障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせで受け取ることができます。

 しかしながら、障害厚生年金と老齢基礎年金の組み合わせで受け取ることはできません。

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