義足で障害年金は受給できるのか

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 大澤耕平

最終更新日:2023年01月13日

1 義足が必要になる場合

 義足とは、何らかの理由で下肢を切断することになった方のために作られた、切断部分に装着して、切断された下肢の機能の代わりをはたす装具のことです。

 このような義足が必要になっているということは、下肢の一部が切断されていたことを意味します。

2 下肢の切断に対する障害年金

 障害年金の認定については、国が障害認定基準という基準を設けております。 

 その基準の、「第3 障害認定に当たっての基準」の「第1章 障害等級認定基準」の「第7節 肢体の障害」、「第2 下肢の障害」には下肢の障害に関する障害認定の基準が記載されています。

 そして、その基準をみると、「両下肢を足関節以上で欠くもの」は1級に該当するとされており、「両下肢の全ての指を欠くもの(以下「両下肢の10趾を中足 趾節関節以上で欠くもの」という。)」や「一下肢を足関節以上で欠くもの」は2級に該当するとされています。

 また、「一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの」に該当する場合には、3級に該当するとされています。なお、リスフラン関節とは聞きなれない言葉かもしれませんが、ちょうど足の土踏まずあたりのことだと思っていただければ大丈夫です。

 さらに、これらの基準を満たさない程度の下肢の切断があった場合には、傷害年金の支給対象にはならないものの、その程度によっては障害手当金の対象となる可能性もあります。

 このように、義足が必要になる程度の下肢の切断があった場合には、障害年金の認定基準を満たす可能性が高いといえます。

3 義足になっても障害年金をもらえない場合

 ただし、障害年金の支給は、障害の程度以外にも様々な条件があるため、義足になったから直ちに障害年金が受給できるとも決まりません。

 例えば、未成年の方が義足となった場合には、国民年金に加入する20歳を待って初めて障害年金の支給が始まります。

 また、成人の方が義足となった場合で、義足の原因となった傷病の初診日において、年金の納付要件が満たされていない場合(長期間にわたって未納があった場合など)には、障害年金の支給を受ける権利が認められないこととなります。

4 専門家にご相談ください

 もっとも、年金納付要件等の判断は、複雑でわかりづらい点もございますので、義足になられて障害年金の申請をご検討されている方は、先ずは一度、弁護士や社会保険労務士までご相談ください。

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